キャリコンのお悩み

エドガー・シャインのキャリア理論◇現役キャリアコンサルが解説

働く多くの方が組織に所属しているため、組織に関するシャインのキャリア理論はマストとされています。

また、キャリア・アンカーを理解することで納得感あるキャリア開発にも寄与します。

誰でも理論を理解できるよう具体例を交えてシェアいたします。

【現役キャリアコンサル徹底解説】エドガー・シャイン(Edger Schein)のキャリア理論

シャインのキャリア理論では、

  • 組織で働くことを上でどのようにキャリアを開発するか
  • キャリアを開発する上で、重要な個人の価値観について

理解を深めることができます。

組織でのキャリア開発でもステップがあるため、現状を当てはめて考えることで会社での目標設定・何をするべきか明確化できます。

キャリア・アンカーとは

人がキャリアの選択をする際、最も大切にする欲求と価値観・能力などのことです。選択の軸にしているため、錨(いかり/アンカー)と例えられています。

つまり自分のキャリア・アンカーを把握しておくと、現状に満足していない時、社内(異動)や社外(転職活動)へ納得感を持って行動に移すことができます。

8つのアンカーとは

仕事をする上で自分が大切にする価値観が8つに分かれています。

  1. 専門・職種別コンピタンス:技術的、専門的な分野での仕事
  2. 全般管理コンピタンス:対人能力、分析能力、情緒の安定などの管理的な面に価値
  3. 自律・独立:自由と独立
  4. 保障・安定:特定の組織や地位に留まる
  5. 起業家的創造性:新しいビジネス、商品、サービス
  6. 奉仕・社会貢献:社会福祉の観点
  7. 純粋な挑戦:常に新たなことにチャレンジ
  8. 生活様式:ライフスタイルを重視

自己分析

アンカーを基に自分の経験を振り返ることで、自身のキャリア・アンカーを見つけ自己分析することができます。

アンカーを意識することで、転職に悩んでいる方は、必ずしも転職が最適な選択では可能性にも気付くことができます。たとえば、漠然とキャリアに悩んでいても職場を変えずに別部署・別職種で異動することで解決することもできます。

これを説明しているのが、次の”組織の3次元モデル”です。

組織の3次元モデル(3つの要素)

Schein, 1971; 1980:図1

企業の中でキャリアを開発するときに3つの方向性があり、開発したいことを明確にするとアンカーに基づいた目標設定ができます。

  1. 機能:職種の変化(Ex. 営業からマーケティング職へ異動)
  2. 地位・序列:同職種における昇進(Ex. 係長から課長へ昇進)
  3. 中心性:担当する仕事内容の重要性(Ex. 担当エリアが地方から首都圏)

組織内キャリアサイクル

社員は組織におけるキャリアの開発についても研究しており、どのようにキャリアを開発するか理解を深められます。

キャリアサイクルの段階としては、

  1. 成長・空想・探索(学生や求職者)
  2. 仕事の世界へのエントリー(スカウトされた新人・新入社)
  3. 基礎訓練(被訓練者・初心者)
  4. キャリア初期(新しいが正式のメンバー)
  5. キャリア中期(正社員・監督者・管理者)
  6. キャリア中期の危機
  7. キャリア後期
  8. 衰え及び離脱
  9. 引退

という9段階があります。このうち私と同じような若手社員や学生における特徴や課題を説明します。

成長・空想・探索(学生や求職者)

【問題】:まず、現実的な職業選択のための基準を開発し、実行可能な現実的な考えに適合していきます。そして、適切な訓練や教育を受け始め仕事の世界に必要な基本的習慣・技術を身についけていきます。

【課題】:自分自身の欲求と興味、能力、価値観などを開発し発見する。職業について学ぶための現実的役割モデルを見つける。

テストや情報、カウンセリングから最大限の情報を手に入れる。キャリア選択をできるだけ広くしておけるような良い学業成績、スポーツ、趣味などを修める。初期の職業決定をテストするためにインターンシップなどの試験的な就業経験の機会を見つける。

仕事の世界へのエントリー(スカウトされた新人・新入社)

問題:労働市場に参入しキャリアの基礎となりうる初めての仕事に就き、組織ないし就業のメンバーになります。

課題:仕事の探し方や応募方法、就職面接の受け方を学びます。また、職務及び組織に関する情報の評価方法を学び先発選別テストに合格する。

基礎訓練(被訓練者・初心者)

問題:仕事及びメンバーシップの現実を知って受けるショックに対処する。また、できるだけ早く効果的なメンバーになり正規の貢献メンバーとして認められるようになる。

課題:未経験ゆえの不安を克服し自信を持つようになることです。そして、できるだけ早く文化を読解しコツを知り最初の上司または訓練者、仲間とうまくやっていくことを学びます。

まとめ:自身のキャリアにも当てはめる

ご紹介したようにシャインは、「組織」にフォーカスしたキャリア理論を展開しています。
キャリアコンサルタントを目指す方の中にも、就職・転職を検討している方も多いのではないでしょうか。

「支援のため」だけでなく「自身のキャリア」を納得感ある選択ができるように、より理解を深めていきましょう。

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