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ナラティブアプローチ(構築理論)で失敗しないキャリア支援【ジェプセン】

キャリア構築理論はキャリアコンサルタントの試験でも頻出の理論ですが、ナラティブ・アプローチは理解していますか。

新しいキャリア理論の中でもイメージが湧きづらいですが、今回はジェプセンの理論について理解を深められるようシェアいたします。

ジェプセンのキャリア理論〜ナラティブアプローチとは

ジェプセンは1990年以降の新しいキャリア発達理論のうちの1つである、ナラティブ・アプローチを唱えている理論家です。

3つの新しいキャリア発達理論とは、これらのことをさしています。

  • プランドハプンスタンス理論(計画的偶発性理論)
  • ナラティブ・アプローチ(構築理論)
  • 社会正義の重視(文脈理論)

ナラティブ・アプローチでは、キャリアはノンフィクションの仕事経験小説と考えられています。

キャリアについて考えようとすると、小説や物語と共通する要素によって構成されるということです。では具体的にどのような要素が共通として考えられているのか見てみましょう。

ナラティブ・アプローチ(構築理論)

ジェプセンはキャリアを小説と捉え、ノンフィクションの仕事経験小説としています。小説として捉えた理由は、下記のようにキャリアと小説は共通する要素があるためです。

  1. キャリアには、著者がいる
  2. キャリアは、時の経過と共に展開する。
  3. キャリアは、ある場所を舞台として展開する。
  4. キャリアには、主役と脇役が登場する。
  5. キャリアには、筋書きがある。
    筋書きには、問題発生、解決方策、主役の行動という3つの要素が必ず必要である
  6. キャリアには、いかんともしがたい障壁、重大な事故が必ず伴う

仕事だけでなくライフキャリアの観点で考えても、悩みや不安は必ずしも1人で解決することはできず人と協力します(4・5)。

成功も失敗も経験しますが、過去の失敗をやり直すことはできず、同じ誤りをしないように成長していきます(2・6)。

また、それを経験する場所がアフリカなのかアメリカなのか日本なのか、場所によって成功や失敗だけでなく行動も変わってきます(3)。

そしてそれを客観的事実として捉える自分及び他者がおり(1)、次に何をするのか行動の選択をしていきます。

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この理論でジェプセンは、個人がキャリアを考える上で他者のと相互作用を重視しています。

そのため、重要視している概念と実践すべきこととして、”選択から構築”と”マッチングから雇用”、”積極的な関与”が上げられています。

”選択”の場合、用意されている場合は受動的に考えられていまします。

また自分で用意した選択肢からの選択の場合も、あらかじめ存在することから選ぶためやや受動的にも捉えられてしまいます。

そのため、自ら”構築”していくことが求められるということです。

たとえば転職活動において、キャリアアドバイザーなどの第三者から用意された求人という選択肢だけでなく、起業やフリーランスなど自分からキャリアを構築していくということです。

質的分析としてのナラティブ・アプローチ

ナラティブ・アプローチを実際のキャリアカウンセリングやキャリアガイダンスに活用するときは、個人を判断するために質的分析という評価を行います。

そしてこのナラティブ・アプローチも質的分析の一つとして知られています。

質的分析とは定量化できない、または、しにくいことを分析する方法です。

キャリアコンサルティングで分析することは、クライアントの気持ちや話したことなので数値で表すことができません。

他にも下記のような、現象学を基礎においている質的分析方法や、データを活用する質的分析方法もあります。

◇他の質的分析の方法

  • 解釈学的現象学による分析 :現象の見えているものと、その見え方を明らかにする。そして、対象の意識の内容と構造を詳細に記述し、経験の知ってき意味を明確にしていく。
  • グランウンデッド・セオリー:現象の記述と概念とを繰り返し重ね合わせ、データと概念との関係を発見して、論理的枠組みに統合しながら解釈する。

また、質的分析以外にも様々な分析方法はあり、用途に応じて使い分けていきます。

なお、キャリアカウンセリングにおいては定量化できない要素がやはり多いため使用頻度は低いです。

カウンセリングで活用をしなくても、職業マッチングの統計などでは書きを使用することもあります。

◇他の測定と評価の方法の例

  • 因子分析 :統計的分析方法の一つで、測定された複数の値の間に見られる構造が説明されている方法
  • 多変量解析:影響を与えている複数の要素を同時に分析して、複数の変数間の相互依存関係を分析する方法
  • 量的分析 :数量的な試行で調査、測定し、統計的に処理し、記述したり、問題の焦点や仮説を検証する方法

まとめ:ナラティブ・アプローチをマスターする

実はキャリア領域以外でも注目が集まっているのが、このナラティブ・アプローチです。

より良い支援をするだけでなく、ビジネススタイルとしても活用できるよう、理論学習を通じてマスターしましょう。

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