ホールのキャリア理論とは〜プロティアン・キャリア【現役キャリアコンサルの解説】

     
       
         

ホールは変化の激しい社会に適応するキャリア開発のために、プロティアン・キャリアを説いています。

このキャリア理論を理解すると、相談者だけでなく自身の選択でも偏見を払拭し、納得感を持てます。

理論のポイントを抑えキャリア開発に役立てましょう。

【キャリアコンサルが徹底解説】ダグラス・ホール(Douglas Hall)のプロティアン・キャリア理論

Douglas Hall氏(出典:2020 Trustees of Boston University)

ホールのキャリア理論は、人と関わることで学び合う”関係性アプローチ”を主張性しています。

組織のマネジメントにおいて司が部下へ指導し成長するということはありますが、この関係性アプローチでは相互が学び成長することを指しています。つまり、必ずしも主従関係や上下関係に囚われず、人との関わりが個人のキャリアに影響を与えるということです。

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◇ホールのキャリア論

キャリアという言葉は一般的に、仕事における成功や専門職など”客観的な評価”の意味合いが強いですが、必ずしも他者に評価される物ではないとホールは考えています。

そのため主観的なキャリアと客観的なキャリアを分けて考える必要があるとされています。やはり、客観的なキャリアについては成功・失敗や良い・悪いが評価されることではないとされています。

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また、VUCAと言われる変化の激しい時代においては、キャリアの正解はなく変化に対応する”変幻自在なキャリア(プロティアン・キャリア)”形成が必要だと考えられています。この”依存でも独立でもない変幻自在なキャリア”は人と関わることによって模索し、形成することができます。

1. プロティアン・キャリア(Protean Career)とは

個人のキャリアは組織によって左右される物ではなく、自分が歩みたいキャリアを形成していくことが重要です。

今までは大手企業への入社が安定と言われていましたが、企業の寿命も短くなっています。また終身雇用制度も崩壊しつつあり、一つの組織に就職しキャリアを終える方は極一部です。

そのため組織に依存せず、自分がどのようなキャリアを歩みたいか意思を言語化する必要があります。これを説明しているのが、プロティアン・キャリアに必要な2つのメタ・コンピテンシーです。

1.1 2つのメタ・コンピテンシー

このプロティアンキャリアは、2つの要素から構成されているという特徴があります。

  1. アイデンティティ
  2. アダプタビリティ

変化に適応するためには、適応する自分自身の特徴を知らなければなりません。ただ単に変化に自分を合わせていくだけでは、他人と同じに成ってしまいます。そして、アイデンティティを把握した上でそれを自身のキャリアに適応していきます。

2. アイデンティティとは

アイデンティティとは自分(価値観や興味など)にどれだけ気づき、それが自身の経験とこれからと結びつけていることです。

これをきちんと把握しておくことによって、変化の激しい時代において時代の変化に自分を合わせるのではなく、自分自身を時代の変化に合わすことができるためである。

2.1 サブ・アイデンティティとは

アイデンティティが役割を意味するのに対し、サブ・アイデンティティは役割を通じて発達するであろう側面のことです。

就職や転職、異動などでキャリアの選択をすることで、どのようになるかイメージを持つということです。イメージを持つことで成長に繋がり、選択するキャリア(就職など)の意欲を強めることができます。このように、サブ・アイデンティティを持つことで成長を加速させることができます。

そしてサブ・アイデンティティを成長させる場面として、下記4つが挙げられる。

  • 適切な目標の設定をしたとき
  • 達成するまでのプロセスでオリジナリティを見つけられたとき
  • 目標の必要性を感じるとき
  • 目標を達成したとき

3. アダプタビリティ=適応コンピテンス×適応モチベーション

アダプタビリティは、適応コンピタンスと適応モチベーションの掛け合わせであると言われています。

ただ何かに適応するだけでなく、その度合いは下記2つの要素によって、より変幻自在なキャリア開発に繋がりやすくなります。

  • 適応することそのもののスキル
  • 適応したいという動機の有無

3.1 適応コンピテンス

そして適応コンピタンスは3つの要素から成り立っています。

  1. アイデンティティの探索:自分を知るための努力
  2. 反応学習:周囲の変化に反応し、最新のものをキャッチすること
  3. 統合力:自分の行動とアイデンティティの一致をしようとすること

3.2 適応モチベーション

適応モチベーションとは、適応コンピテンスを開発させようとしたり、コンピテンスを当てはめようとしているかの動機を指します。つまり”自分を知るため・つくるために知識情報を常に収集しようとし、それをアウトプットしようとしているかどうか”ということです。

そして適応モチベーションには3つのプロセスがあります。

  1. アイデンティティの適応プロセス:現時点の自分を知り、アイデンティティの開発・変化を模索・学習すること
  2. 行動的適応プロセス:変化する課題の解決ができるよう、意識的に行動すること
  3. 総合的適応プロセス:現状と目標のバランスを(乖離しないよう)意識し、調整すること

4. キャリア選択

今までは、仕事の選択(就職や転職)は人生の選択と捉えられていましたが、日々の選択を重視してキャリア開発を行うことが重要です。

また日々のキャリア選択を行う中で、その選択をするとどのように変化するか(サブ・アイデンティティ)を見極めることもよる必要になります。経験を積めばスキルが身につくではなく、”どうなるだろうか”や”どうなりたいか”を具体的にイメージするということです。

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