
職務経歴書の退職理由を考えているときに、事実を伝えようとするとマイナス印象を与えてしまうと悩んでいる方は多いのではないでしょうか。そんな方が事実を伝えながらもポジティブな印象を与えられるような退職理由をかけるポイントをご紹介いたします。
コンテンツ
1. なぜ退職理由を聞くのかを考える
採用担当者が退職理由を聞く理由は、①短期間で辞めないかのリスクマネジメントと②仕事のスタンスを見極めることが挙げられます。
それぞれの目的を知り職務経歴書を考えると、マイナス印象を与えかねない退職理由でもプラスの側面をアピールすることができます。
1.1 リスクマネジメントとは
数ヶ月の短期間で辞めてしまうことは会社にとって損失となるため、このリスクが起きないかを判断しています。
今までの退職理由を把握することで、同じ原因が会社にあるかどうかを判断します。仕事内容や経験的に活躍できる人材であると判断しても、求職者の長期的な活躍を考慮すると心苦しくも選考が進まなくることもあります。
ですがこれは必ずしもマイナスではなく、ミスマッチを防ぐためにはどうしても必要な判断材料になります。
1.2 仕事のスタンスを見る
退職理由と聞くとマイナスの印象がありますが、これを前向きにアピールできるのがスタンスについてです。
前職と合わずにより良い・合った環境や仕事に就くために別の職場を志望するということを説明することで、どのような姿勢で仕事に向き合うのかイメージすることができます。
2. 20代の退職理由
3年3割と言われているように大卒で新卒入社した社員では、入社3年以内に約3割の方が退職をしています。平成30年では32.2%(143,360名)が実際に退職をしています。
もちろんネガティブな理由の退職もあればポジティブなものもあります。その転職をした方々が退職をした理由が下記の表にまとめられています。
厚生労働省「平成30年雇用動向調査結果の概要」
赤く括ったものが1番(その他を除く)、オレンジが2番目に高い割合のもので20代男性と女性ともに
- 給与等収入が少なかった
- 労働時間、休日などの労働条件が悪かった
が高い割合を占めています。
しかしこれらを直接、職務経歴書に記入してしまうとマイナス印象を与えかねません。実際どのように書けば良いのかを、次の「退職理由の書き方」で確認していきます。
3. 退職理由の書き方
職務経歴書へ退職理由を書くときに最も重要なことは、「事実と異なることは書かない」つまり嘘は書かないということです。
退職理由を偽って考えると、必ずと言って良いほど採用担当者はそれに気づきます。また転職活動で伝えたくないと思っている退職理由でもマイナス印象を与えずに事実を伝えることも十分可能です。
そこで事実に即したマイナス印象を与えない退職理由を作成するときのポイントは、
- ポジティブ変換する
- 事実を書く
- 定量的に書く
- 実績と一貫性を持たせて書く
の4つがあります。それぞれどのようなことに意識するべきか確認していきましょう。
3.1 ポジティブ変換
事実は一つですが捉え方によっては必ずしもマイナスだけでなくプラスに捉えることができます。このプラスの側面に着目してアウトプットしていくということです。
◆残業が多い理由の例
終業後の時間を活用したパラレルキャリアを通じて相乗的にスキルアップするため退職いたしました。休日の約10時間を求職者のキャリア相談に費やしていましたが、平日に相談を希望する方のニーズに応えられておりませんでした。前職では残業時間が月間70時間を超え、終業後に求職者との面談やセミナー参加など自己研鑚に当てることができませんでした。(以下省略)
この例では「残業が多いため退職する」という理由の場合では、マイナス印象を与えてしまうこともあります。ですが「残業が多いと自己研鑚できない」という残業が多いと嫌な理由まで書くことで事実を伝えながらマイナス印象を避けています。
3.2 事実を書く
退職を考えたきっかけについて第三者が誤解を招かぬように、意見や考えでなく事実を書きます。
◆事実を書けていない例
より責任あるポジションでの仕事を希望し退職いたしました。前職は年功序列の風土だったため、昇進するためには長年勤続する必要がありました。
この例では「年功序列の風土」が事実なのかどうか分からず一方的に意見のように考えられます。そのためこれがわかるような事実に置き換えて書く必要があります。
◆事実を書けている例
より責任あるポジションでの仕事を希望し退職いたしました。前職では課長の平均年齢が40歳と年功序列だったため、20代で課長などの責任ある仕事をしたい私には前職での昇進は現実的ではありませんでした。
3.3 定量的に書く
これも第三者が過大評価及び過小評価をしないように定量的に表現していくことが必要です。
たとえば「残業が多い」と書いてしまうと人によって想像する残業時間が異なります。
◆定量的に書けていない例
担当企業一社に寄り添って課題解決に伴走できる仕事を希望するために退職いたしました。前職では営業一人当たりのクライアントの担当数が多く、それぞれの顧客と向き合う時間がありませんでした。
◆定量的に書けている例
担当企業一社に寄り添って課題解決に伴走できる仕事を希望するために退職いたしました。前職では一人当たりの取引企業数が約100社であったため、一社の提案資料作成に長くても1日しか割けない環境でした。
3.4 実績との関連性
職務経歴書に記載する実績と関連した内容で退職理由を書くことができるとベストです。
◆「営業成績トップ」を踏まえた退職理由
求職者一人ひとりと向き合うことができる環境で仕事がしたいと思い転職いたしました。営業成績で年間トップを受賞しましたが、この成績を収めるためには1人でも多くの求職者との接点を増やすため1人と向き合う時間がときには10分と非常に短かったです。(以下省略)
この例では営業成績トップを取ったものの、その会社で必要とされているスタンスと自分が重視したいポイントが異なることが説明されています。そして別のスキルアップをしたいという前向きな姿勢も読み取れます。
退職理由でアピール
まだまだマイナスのイメージがある退職ですが、伝え方によっては好印象を与えられることが解ったのではないでしょうか。
ポイントを押さえて退職を考えたきっかけと向き合い新たな一歩を踏み出していきましょう。
コメント